2009年6月25日木曜日

万年筆で涙:ペンドクター川口さん

2009/6/22朝日夕刊 be evening セーラー万年筆ペンドクター 川口明弘さん(61才)のインタビュー記事.いくつか印象的な話.

川口さんは有名なペンドクター.年60回,日本中の文具店,文具売り場で,ペンを直している,その道では有名な人.

50代のときにセーラー社から早期退職を求められたんだって.あれだけの有名人を.でも,半年後,全国からクリニック再開の声が会社に相次いで,契約社員になり,再開.

メーカーを問わず,3分で,その人にとって完璧な書き味に直すという.

売上高グラフが載っていて,セーラーの年間売上高は2006年から上り坂.パイロット社に追いつきそうな勢い.川口さんの貢献があるかも.

以下は感銘を受けた話.

● 若い女性が修理に訪れ,何に使うの?と聞くと,「遺書を書きたい」...何十年と使えるようにするのが仕事.遺書のための修理など...「直してあげるから少し考え直してみなさい」...インクが出るようになったペンに,女性が涙した.後日届いた手紙「遺書じゃなくて,もっと違う手紙を書きます.ありがとう」

● 大切な贈り物,親の形見のことも多い.生き返った万円筆に泣き出す人もいる.「一本の修理で,これあけの気持ちを受け止める.そんな職業って他にある?」

● 床屋で散髪を月に3回するとのこと.短く買った髪は「頭を洗うときに,指にしみこんだインクを落とすタワシ代わり」