2009年8月15日土曜日

追悼 ハワード・ゴビオフさん(グーグル社)

丸山不二夫先生によるTwitterでのつぶやき(2009年8月14日)により,グーグル社のハワード・ゴビオフさん(Howard Gobioff, Mr., PhD)が,2008年3月11日にお亡くなりになっていたことをに知りました.同氏の正式追悼ページがこちらにあります.トップページの文章は淡々と書かれていますが,胸を打たれます.About Howrardタブには彼をよく知る人による想い出が,写真タブページには彼の思い出の写真が掲載されています.

グーグル社のほとんどのデータはGoogle File System (GFS)という独自ファイルシステム上に保存されています.グーグルの検索, GMail, Maps等,同社の主要サービスのほとんどがGFSを使っているはずです.このGFSの主要開発メンバーの一人がHoward Gobioffさん.CMUでPhD取得後,グーグル社がまだ20人位の小さな会社だった頃に入社した,初期メンバーの一人とご本人からかつて伺いました.

GFSの論文は,OSに関する学術会議の最高峰の一つ,ACM Symposium on Operating Systems (SOSP)の第19回(2003年)で発表されました.この年はニューヨーク州のジョージ湖湖畔のホテルで開催されました.私もこの会議に出席し,GobioffさんによるGFSの講演を拝聴したのが最初の出会いになります.

2004年に,渋谷にグーグル日本支社が設立されましたが,その立ち上げに米国グーグル社から派遣されたエンジニアがゴビオフさんです.あのGFSの開発者が我が国に来てくれた事を知り,嬉しく思いました.

当時私は,情報処理学会オペレーティングシステム研究会の主査を務めており,研究発表会やシンポジウムの企画を担当していましたが,できるだけ多くの人に彼の講演を聴いてもらおうと,2005年の情報処理学会並列/分散/協調処理に関するサマー・ワークショップ(SWoPP, 2005年8月,佐賀県武雄市)での招待講演を企画し,講演をお願いしたところ,快く引き受けて下さいました.同氏を武雄市までお連れするために,羽田空港で待ち合わせ,飛行機,電車を乗り継いで,現地旅館および講演会場までご一緒し,帰路も含め,旅の途中でさまざまなお話を伺いました.羽田空港では阿部洋丈さん(現 豊橋技科大)や渡辺卓雄さん(現 東工大)と出会い,旅を共にしました.

その後も,筑波大でグーグル社の別のエンジニアによる講演会を開催したときにも,アレンジの手伝いをして下さり,ご同行下さいました.

前述の同氏追悼ページ内で,米国カーネギーメロン大学コンピュータサイエンス学科長のPeter Lee教授は,ゴビオフさんは日本支社の立ち上げに尽力した後,同社のマンハッタンオフィスに移ったと書いています.同氏がこよなく日本と日本の文化を愛してくれていたことも言及されています.

グーグル社のすごいところは,ユーザとして使っている分にはほとんどわかりませんが,ゴビオフさんのような,コンピュータサイエンスの博士号をもち,凄腕のソフトウェア設計&プログラミング能力をも有する人達を数多く抱えていて,情報インフラを日夜,独自開発しているところです.その様子の一端を知ってもらいたいということが,上記招待講演を企画した私の思いの一つでした.

まだ若い,日本と日本文化を愛してくれたゴビオフさんがお亡くなりになっていたことを知り,私の心は悲しみで一杯です.これからも,グーグル社のサービスを使う度に,彼が作ったGFS,および,その発展形によってデータ管理が行われていることに思いを馳せたいと思います.

ゴビオフさん,ありがとう.

2009年8月10日月曜日

リー・リトナーがつくばにやってきた

2009年8月6日,リー・リトナーがやってきた.リー・リトナーはフュージョン・ギター界の有名人.最初に聴いたのは中学生の頃なので,もう30年以上,聞き続けている.

ポスターは下記にある.
http://www.vol-vox.net/pastperformance.html

今回は下記のようなメンバー
Lee Ritenour (guitar)
John Beasly (keyboards)
Melvin Davis (bass)
Oscar Seaton (drums)
Annne Kei (vocal, piano, guitar)

リーリトナーグループに,アンナ・ケイという女性シンガー・ソングライターをフューチャーした構成.Touchという最新アルバム(3枚目オリジナル)をリーリトナーがプロデュースしている.

最初は,アンナケイのピアノ弾き語り2曲から始まった.ちょっとハスキーボイス.グランドピアノの配置位置の関係で,客席に背を向けて歌っている.2曲歌ったところでステージ前方に出てきて挨拶.プログラム説明によるとデンマーク出身.若きブロンド美人.頭の先からつま先までパーフェクトにドレスアップされている.待ちに待ったリーリトナー登場.リーのアコースティックギターのみをバックに歌う.その後,ベース,ドラムも加わる.さらにキーボードも加わる.この辺りで,アンナ・ケイ,いったん退場.インストルメンタルのみのバンド演奏となる.変化をよく考えた構成だ.

19時開始で21時過ぎまで,途中休憩なし.私にとって一生一度かもしれないリーリトナーの生演奏を堪能した.

ステージ終了後,ホワイエでCD, DVDの販売.もしかしたら,本人達がサインしてくれるかも,というアナウンス.ごった返しの中,選んだのは渡辺貞夫の1977年のライブ版.32年前の録音だ.若々しい頃のリトナー.サインして,握手してもらった.列の最後の方だったが,どうやらこのCDを他に買った人はいないようで,しげしげと手にとって眺めて,“Oh, Sadao, ...”と懐かしげ名様子.昔から,お二人の演奏好きなんですよと,英語で言ったが,通じたがどうかは定かでない.


2009年8月8日土曜日

2009年8月7日はヒロセコーミ爆弾投下の日

2009年8月7日は,日本のインターネット・ワールドの歴史の一ページになるのではないか.ヒロセ爆弾が投下された日として.

この日,広瀬香美さんは,Twitterを始めて2-3週間くらいの間に身辺に起きた一連の出来事を楽曲化して発表した.プロ品質の作詞,作曲,編曲,歌唱で.

本人がTwitterワールドに感銘を受け,楽曲提供を思い立ち,「ビバ☆ヒウィッヒヒー」なるタイトルを先に決めて,フリー公開をTwitter上で予告し,本当に実行した.その「本気度」はどれくらいのものか,私も(そしておそらく多くのTwitterユーザも)半信半疑であったが,その品質は,「広瀬香美」の名に恥じないプロ品質のものであった.

さらにサービス精神旺盛な広瀬さんは,ピアノデモ・バージョンまで公開した.このバージョンは,広瀬さんのメーリングリスト登録者限定でアクセスできる.

なぜこれが「爆弾」なのか?


日本におけるTwitterのユーザ数は,2009年5月推計で52万人だ.(ネットレイティングス社発表)それに対して米国は1700万人.大きな開きがある.どうして,このような開きがあるのか? 二つの理由が考えられる.

(1) Twitterが日本文化に適していない.
(2) 日本人がTwitterの使い方,楽しみ方を理解していない.

ネットレイティングス社のグラフを見れば一目瞭然だが,日本ではTwitterは現在,ブレーク以前の段階だ.ちょうど,ジェフリー・ムーア氏が言うところの「深い溝」(chasm)にあり,アーリーアダプターが利用しているが,アーリーマジョリティが使い始めるためには,「深い溝」を超える必要がある.何らかの「橋」のようなものが必要なのだ.

最近,勝間和代さんと広瀬香美さんが,Twitter上で連動して活動を展開し,Twitterユーザを惹きつけた.大手マスコミも最近,Twitterに参入し,毎日新聞は,勝間-広瀬コンビのサポートを始めた.勝間さんと広瀬さんのやり取りは,まるで誰かによってプロデュースされているのではないかと思うほど,絶妙だ.これもしかして,Twitter社がバックで何かしている? 放送作家がバックにいるんじゃない? と思うほどだ.それくらい,よくできている.勝間-広瀬コンビや「ビバ☆ヒウィッヒヒー」はTwitter社の耳に入っているかもしれないが,同社から見れば,東洋の島国で起きている一つの小さな出来事であろう.お二人とも,プロの「表現者」であり,「間」,「場の空気」を読むところで天才的なところがある.お二人は,Twitter上でその場の,間,空気を読みながら,つぶやきアクションを行っているのだ.ネットという,分散した環境で.

そのような状況の8月7日,広瀬さんの手による,Twitterをモチーフにした楽曲が公開された.この楽曲は,今は知る人ぞ知るの段階であり,アーリーアダプターを中心とした盛り上がりの最中である.ネットの動画投稿サイトには,編曲版まで登場して盛り上がりを見せている.ヒロセ爆弾の爆風波は,ちょうど今,ネット上を伝搬している最中なのである.

今回のヒロセ爆弾の面白いところは,Twitterユーザでない人,すなわち大部分の日本人に対しても,「新しいモノ」,「ちょっと変なモノ」が流行りだしたらしいということで,爆風波が伝わっていく可能性がある点である.なぜなら,楽曲という,非常に分かりやすい,一般的な媒体によって,Twitterなるものが表現されたから.

私が以前に「Twitterとは何なのか」というブログ記事で指摘させてもらったように,Twitterはプッシュ/プル統合型の通信メディアにSNS (Social Network Service)フレーバーを添えたものである.MixiやHatenaのように,総合的なサービスではなく,機能をとことん絞り込んだ,シンプルな「通信メディア」だ.複数相手に同時に送れるメール,ショートメッセージのようなものだ.このシンプルな道具の使い道が見つかるか否かが,Twitterなる通信メディアが我が国に普及するかの鍵である.

勝間-広瀬コンビによる「文字放送ラジオ」は,我々が偶然手にすることができた,キラーコンテンツだ.そして今,ヒロセ爆弾投下により,ネットを超えた爆風波が生まれ,日本全国津々浦々に伝わるかもしれない興味深い時代を,リアルタイムで我々は体験中なのである.

最後にもう一言


インターネットは誰のものでもないが,その技術の大部分は米国で開発された.インターネットだけではない.コンピュータのハードウェアも,ソフトウェアも,米国で作られたものが世界を席巻しているのが現実である.製造は,製造コストが安い他国でなされる事も多いが,基本設計は米国製である.

そして現在のコンピュータ世界は,ソフトウェア中心からサービス中心に重心を移しつつある.ソフトウェアは,ユーザのマシンにインストールされて使用されるが,サービスは,ネットの向こうのサーバで実現され,ユーザは自信のクライアントマシンからサーバに接続して,サービスを利用する.サービスの世界も,ハードウェアやソフトウェアと同様,先進的なモノは米国製である.今回話題になっているTwitterもまた,米国製だ.

結局は米国製のサービスの「輸入」に我々は励んでいるだけなのか?

Twitterは,元々,Ruby on Railsというサービス構築フレームワークを使用して作られた.そのRuby on Railsは,我が国の松本ゆきひろ氏作によるプログラミング言語の長所を巧みに活用して作られたフレームワークだ.おそらくはそのお陰で,当初から,日本語を問題なく処理できる.つまり

Ruby -> Ruby on Rails -> Twitter

という階層構造がある.我々は今,その最上段に,我が国独自の階層を作ろうとしているのだ.

Ruby -> Ruby on Rails -> Twitter -> ジャパン・コンテンツ

最下段と,最上段.嬉しいではないか.

2009年8月5日水曜日

ゴルゴ13のようなウサギ


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我が家の塀の外側で,外の様子をじっと眺めるウサギ.いろいろと場所を探索し,背後を取られない場所を選んでいる.

家にいるときもそう,座って休むときは,背後を取られない場所を選ぶ.ゴルゴ13のように.(ゴルゴ13は,立ったままだが)

写真はクリックで拡大します.

2009年8月4日火曜日

Twitterとは何なのか

Twitterとは何なのかという問題は,なかなか奥深いテーマである.できるだけ少ない言葉で言い表すとどうなるか? 現在の私の案は次のようなものである:

Twitterとはプッシュ/プル統合型の通信メディアに,SNS (Social Network Service)フレーバーを添えたものである.

プッシュ型の通信とは,いわゆる放送という形態をとる通信メディアであり,テレビ,ラジオがその典型だ.ユーザに与えられた自由度は基本的に一つ.チャンネルを選ぶこと.選んだチャンネルから,川の水の流れのごとく,情報が流れてくる.一度チャンネルを選ぶと,ユーザは流れてくる情報を選ぶことはできない.どんな情報を流すかの制御権は情報の送信者(放送局)側にのみ委ねられているのが,プッシュ型通信の特質だ.

その反対にプル型の通信は,ユーザが情報を意図的に見に行くタイプの通信である.いわゆるWebのホームページがこれに相当する.本屋に行って本や雑誌を選ぶ行為も,プル型通信の一種であろう.

インターネットとWebはほぼ同時に一般社会に普及した.つまり,インターネットおよびWebは,プル型通信から始まった.インターネットは初期の頃から,放送との類似性が指摘されており,いずれは,インターネットと放送は統合されるであろうと,インターネット業界や研究者の多くの人が予見した.そして出てきた形態が,インターネット上のプッシュ型の情報配信である.その一例がポイントキャスト社による同名のサービスである.同社は1996年2月にサービスを開始し,2000年3月時点で朝日新聞,共同通信,時事通信,リクルートなど30社がニュースなどのコンテンツを供給している.(マイコミジャーナル2000年3月

しかし,プッシュ型の情報配信は,インターネット・ユーザに受け入られなかった.インターネット・ユーザは,テレビのような情報配信形態をインターネットに求めたのではなかった.インターネット・ユーザは,自分で見る情報を自分で選ぶ,いわゆる「サーフィン」スタイルを選んだ.

Twitterの話に戻ろう.Twitterは基本的にマイクロブログだ.ブログとは,個人が持つ,情報追記型のWebサイトだ.1回の投稿記事の追記量を140字に限っているところが「マイクロ」なところである.これだけであれば,伝統的なプル型だ.Twitterはさらに,他ユーザのマイクロブログをフォローし,フォローしているユーザの投稿記事を時系列上で並べて,さらにその中に自分の投稿記事も組み入れる,タイムラインという表示形式を提供している.このフォローという概念により,プッシュ型の要素を取り入れ,さらに,SNS的なコミュニティを,個人ごとに形成できるようにしている.そして,フォローする,フォローをやめる,といった操作をワンタッチで簡単にできるように工夫してある.また,誰が誰をフォローしているか,誰によってフォローされているかも簡単に見られるようになっていて,SNS形成を手助けしている.

Twitterがどれくらい人々に受け入れられるのか,開発者当人達も予測できなかったのではないか.他の人々,例えば,ベンチャーキャピタルに説明しても,理解を得るのは簡単ではなかったであろうと思われる.

Twitterは,プッシュ型とプル型のハイブリッド形態を作り上げて良いところ取りをし,さらに,人々を惹きつけることが分かってきたSNSフレーバーを軽く添えた.このデザインは,現在のサービスデザインのツボを付いた,巧妙なるデザインと言ってよいであろう.

初期のSNSが,招待制のような形で,クローズな世界を醸し出していたのに対して,Twitterはただフォローするだけ.よりオープンで,ライトウェイトだ.

2009年8月3日月曜日

IPA未踏の一プロジェクトマネージャより

IPA未踏(本体)は,今回から審査方式がちょっと変わりまして,応募提案全件(2009年度上期は124件)を,全PM(同5名)が目を通して採択可能な案件を探すようになりました.1件10ページとしても,1240ページの本を読むようなものですから,大変に根気を要する作業でした.その中から選んだ候補についてヒアリングを行い,十分な質疑応答を行って,最終候補を選びました.

応募124件に対して採択18件ですから,非常に狭き門であり,大部分の方は,時間を掛けて,苦労をして申請書を書いたにも拘わらず,落選してしまうわけですが,その心の痛みをひしひしと感じながら審査しています.

未踏に興味のある方は,ぜひ公開発表会等の催しにいらして,採択案件の内容を聞いてみて,質疑応答等で突っ込みを入れてみるとよいと思います.来場頂いた方も,開発者も,そしてPMにも,互いに得られるものがあると思います.

2009年8月2日日曜日

未踏成果報告会(2008年度下期,加藤・竹田PM合同)

昨日(8月1日),東京国際フォーラムでの,IPA未踏成果報告会にご来場下さった皆様,ありがとうございました.60名以上の参加があったでしょうか.10:30~16:45という長丁場でしたが,疲れがたまっていくどころか,ボルテージが上がっていく雰囲気で,大変に充実した会とすることができ,ご来場頂いた皆様,そして,発表して下さった皆様に深く感謝しております.

今回は初めて,Twitterで実況中継を試みました.http://twitter.com/kzhk

私(加藤)と竹田正幸PMのチームが交互に講演というプログラムになっていて,最初から意図した訳ではないのですが,まるで,先攻・後攻の団体戦のよう.加藤チームはインフラ層,竹田チームはメディア層といった感じで,きれいにカバーするエリアが分かれていて,それが交互に話を繰り出す形になりました.この形がうまくいったようで,最後は心地よい疲労感に包まれながらも,名残惜しく閉会という感じでした.

最後の挨拶でも申しましたが,未踏開発者の話を伺うと,元気をもらえます.そして,互いに突っ込みを入れながら盛り上がれます.もしまた機会がありましたら,今回来場して下さった皆様も,来場できなかった皆様も,お会いすることができたら幸いに存じます.





2009年7月31日金曜日

家宝公開

デッサンの達人,陣内利博 先生(武蔵野美大)による私の似顔絵.数年前に,手帳にさらさらって描いて,はいどうぞって下さったものを,スキャナで取り込みました.プロって本当に凄いよね.日頃から物を見る目が普通の人とは違うみたい.





2009年7月29日水曜日

最近の県立高校の説明会

知人から聞いた伝聞だが,地元県立高校の説明会が熱いことになっているらしい.通常なら,高校内の体育館でやりそうなところを,敢えてちょっと離れた,つくば国際会議場の大ホールで開催.しかも,出席者数の関係から,午前と午後の部の2回に分けて.

先生の説明は15分くらいで,後は,在校生が説明するんだって.その際に,バックの大スクリーンに,説明中の生徒の名前が大写し.その生徒を知る人には「あの子もあんなに立派になって」と強烈な印象を残し,本人のモチベーションも大アップ.

そして余興にブラスバンド部登場.楽器を振り回しながら,しかも演奏もうまい.NHK大河ドラマのテーマ曲で親御さんの心を掴む.そしてその後,イケメン男子5名が登場で「嵐」.マイク片手に客席まで下りてきてのパフォーマンス.受験生予備軍の心を掴む.

TX(つくばエクスプレス)効果かもしれないが,新しい,若い息吹を感じます.

時代は変わっている.我々も負けずに頑張らねば.

和泉宏隆さん(元T-Squareのキーボード奏者)のセクシーな楽曲と演奏

和泉宏隆さんが,T-Square時代に作曲した曲を,ピアノのトリオ演奏しているCDアルバムを発見.即購入.T-Square (T-が付く前から),何と美しいメロディだろうと思うと,和泉さんが作曲であることが多かった.あのような美しいメロディをどうやって「降臨」させるのか,とっても不思議.彼が弾く,キーボード,ピアノもまた,きらきらとした輝きがある.

ところで最近,米国では,coolというような意味でsexyという表現を使う.気の利いたことを言うような場面で.昔,はじめてcoolという表現を,冷たいという意味以外で使い始めた頃もそうだった.下記ながら思い出したが,昔,カナダ人から教わったが,cuteという語にも,coolとは違うが,そういうようなニュアンスがあると聞いた.「そのアイデアはcuteだ」のように使うらしい.でも同時に忠告された.君は使うのはやめとけ,きっとはずすから.今,日本人が,うまいタイミングでsexyというのは,すごく難しいだろう.使わない方が無難だろう.

でもそこを敢えて言ってみよう.和泉宏隆さんが作る楽曲,彼の演奏,sexyじゃありません?

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鳥山雄司 - Guitarist~Solo Guitar AOR Cover Album

坂崎幸之助さんのラジオ番組で,ギタリストの鳥山雄司さんがアコースティックギターアルバム作成の様子を話しているのを聞き,聞きたくなって購入.

Eギターが専門の人がAギターを弾くと,奏法の関係か,フレーズの癖か,Eギター色が入ってしまう人が多いが,この人のAギターは,Aギター専門家のよう.

鳥山さんは若いときに1日12時間,2年間練習したそうだ.おそらくEギターを中心に.

今回のAギターアルバム,1曲の編曲と練習に4日を要したとのこと.それだけ時間をかけても,こりゃ駄目でボツというものが何曲かあったらしい.プロの世界は厳しい.

付け爪してるって言っていた.フィンガーピックを使わないサウンド.奇をてらわない,素直なサウンドとアレンジ,無駄のない音選び.

“AOR”がサブタイトルにもなっているが,選曲は我々40代向け.

Guitarist~Solo Guitar AOR Cover AlbumGuitarist~Solo Guitar AOR Cover Album
鳥山雄司

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2009年7月28日火曜日

ウサギさん,冷却中


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ウサギさんにとって夏場における冷却は,重要な問題.最近彼が見出したのは,サッシのレールの上.アルミ冷却&空冷.網戸,囓らないでね.

2009年7月11日土曜日

ウサギ 2009-07-11


ウサギ090711
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庭でウサギ君の写真を撮ってみました.

2009年7月8日水曜日

Scalaを選んでみた理由

河野さん (shinji_kono) on Twitter wrote:
> Scala Tutorial って機能の自慢みたいな感じで、大規模プログラミングでの、Scala の利点が良くわからない。Java から、Scala に、Refactoring するとかあるのかな。

加藤(kzhk) on Twitter wrote:
> @shinji_kono 現在うちのプロジェクトで,分散環境でVMを操る2万行規模のJavaコード(自前のクラウドコンピューティング基盤)をScalaで書き直そうとしています.プロジェクトメンバー皆でScalaの学習中.

中田さん(@hidemotoNakada )on Twitter wrote:
> @kzhk 楽しそうですねー.でも,本当にScalaでいいのでしょうか.などと (^_^).Scalaのパターンマッチ用のクラスはなんか気持ち悪いなあ...

仕様がかちっと決まっていて,大勢で開発のような場合はJavaもいいかもしれませんが,試行錯誤を繰り返す研究開発現場では,Javaの行数の多さ(もっと言えば,生産性の低さ)は以前から問題だと思っていました.方式を変えようと思っても(号令をかけても),簡単には書き換えられない.

Ruby, Pythonの生産性の高さは良いですが,静的検査がない.一人か,ハイレベルプログラマ少数が書く場合はよいかもしれませんが,ある程度の人数で分担して書く場合はちょっと不安.分散ソフトを書く際のActorsの生産性の高さは,以前にErlangでテスト済み.Erlangはよいのだが,Javaと親和性なく,当研究室環境で純関数型に付いていけない人は少なくないかも.関数型プログラミング経験がない人には習熟に時間がかかりそう.それから,実際に使ってみるとエラーメッセージが不親切.

Scalaをしばらく試してみたところ,結構良さそう.Martin Oderskyの言語設計能力にはかなり感銘を受ける.過去のJavaコード資産がすべて使え,Ruby相当の生産性と習得時間,静的検査あり.Actors (Remote Acotors)機能あり,テキストも揃いつつある(下記参照).元々,個人的に関数型言語は好きだが,クラウドコンピューティング時代は関数型言語が重要性の増すとの直感在り(更新よりも追記,微視的よりも巨視的プログラミング(MapReduce等)).

以上のような考察から,経験を積むことも兼ねて.Scalaでトライしてみることにしました.

テキスト:


Programming in Scala: A Comprehensive Step-by-step GuideProgramming in Scala: A Comprehensive Step-by-step Guide
Martin Odersky

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開発者自らが書いており,言語設計およびプログラミングの哲学まで語られている.ページ数が多く(本文685ページ),読むのに時間が掛かるが,よい勉強になる.



Beginning ScalaBeginning Scala
David Pollak

Apress 2009-05-27
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プログラミング経験は豊富だが,あまり関数型プログラミングの経験はなかったベテランプログラマによる書.例題が豊富で,手軽な分量(290ページ).高速に読め,実用的.

P.S.
チームで中規模以上のソフトウェア作りをするとき,生産性の低い人はJavaで書いてはいけない.問題が生じたときに書き直せないから(書き直す気力と時間がない).Ruby, Python, Lispで書いてもいけない.規範ないコード,特定の場合でしか動かないコードを書いてしまうから.では,初級プログラマはどうしたらよいのか? 頑張って,腕をあげよう.そのためには,書きまくり,よいプログラムを読みまくり,コードの書き方を学ぶのだ.楽器演奏の習得に似ている.自分で楽器を弾きながら,うまい人がどう弾いているのか,学ぶのだ.自分の演奏を聴いてもらい,コメントをもらうのだ.私の経験だと,プログラミングがある程度できるようになっても,一つの新たな言語を使いこなせるようになるのに,一年を要する.

2009年7月5日日曜日

Amazonの追徴課税問題に関するクラウドコンピューティング的考察


朝日新聞7月7日朝刊記事より:アマゾンに140億円追徴 国税局「日本にも本社機能
http://www.asahi.com/national/update/0704/TKY200907040278.html

この問題を簡単に説明すると,Amazon.co.jp(日本)の所得をAmazon.com(米国)の所得として計上し,米国に法人税を納めていたことを東京国税局が問題視し,05年12月期までの3年間に日本国内で発生した所得のうち,応分を日本に支払うべきだったと指摘.無申告加算税と延滞税を含めて1億1900万ドル,当時の為替レート換算で約140億円の追徴課税処分を課したというもの.アマゾン側は米国に納税しており,日本側の指摘を不服として日米の二国間協議を申請.日米の税務当局間で現在,協議中という.

つまり,これまで,Amazonの日本における売り上げは,米国におけるそれと合算されていたのだ.我々がamazon.co.jpから購入すると,実は,amazon.comから購入するのと同じだったのだ.

日本と米国で税率はほぼ同じらしいが,分散して払うよりも,まとめて払った方が税額を安くなるらしい.このような「テクニック」は以前から知られており,問屋(といや)商法と名付けられている.古風な名前だ.

> 米関連会社はアマゾンジャパンに販売業務を、「アマゾンジャパン・ロジスティクス」(千葉県市川市)に物流業務を、ともに委託して手数料(コミッション)を支払う一方、それ以外の大半の中枢機能は米側に集中させていた。問屋(といや)(コミッショネア)商法の一種とみられる。

問屋商法の解説が下記中にある.
http://www.asahi.com/national/update/0704/TKY200907040278_01.html
> 〈問屋商法〉 進出先の現地法人には販売などごく一部の業務に限定させる一方で、在庫の管理や為替変動などのリスクとともに、管理部門も本国に集中させてコストを削減することで、利益の最大化を図ることができる。米系の多国籍企業などに近年、採用されるケースが多いとされるが、進出先の国にとっては課税対象になる所得の流出につながる側面がある。

Amazonは一般消費者向け小売りをインターネット上で展開している訳で,その取扱い数は膨大,簡単にはできない.Amazonはクラウドという,一種の集中システムを作り上げているために,膨大な商品の種類と数を扱いながら,世界規模でこのようなことが可能になった.

そしてこのようなことをやっている可能性は日本だけではない可能性は高い.もしかしたら,国別に最適化し,安くなるかどうかで,米国集中させるかどうかを分けているかもしれない.

Asahi.comによると,売り上げを合算すること自体は合法的のようである:

> 日米租税条約では、米企業が支店など「恒久的施設(PE)」を日本国内に持たない場合、日本に申告・納税する必要はない。アマゾンは市川市に物流センターがあり、仕入れた書籍などが置かれている。

> こうした倉庫はPEに当たらない。しかし国税局は、
  1. >米関連会社側のパソコンや機器類がセンター内に持ち込まれて使用されていた
  2. >センター内の配置換えなどに米側の許可が必要だった
  3. >同じ場所に本店を置く日本法人ロジスティクスの職員が、米側からメールなどで指示を受けていた
  4. >物流業務以外に、委託されていない米側業務の一部を担っていた
>――などに注目。センター内にPEが存在するとして、05年12月期までの3年間に日本国内で発生した所得のうち、応分を日本で申告すべきだったと指摘した模様だ。

つまり,「恒久的施設」があるかどうかがポイントのようだ.おそらく,サーバが日本にあると,確実にアウト(違法).これはクラウドでクリア可能.しかし,クライアントパソコン,周辺機器があったら駄目ということで,これは避けようがない.つまり,クラウド化だけでは所得合算は合法にならないというのが,東京国税局の判断.

日米の二国間協議中のようだから,この先,どうなるか,興味深い.

本件,誰が得か損か考えてみよう.
・アマゾン社:税金が節約できるので得.
・日本国政府:税金流出なので損.
・米国政府:税金流入なので得.
・日本の消費者:税金節約のおかげで商品価格や運送価格の設定が安くなっているとすると一見,得.しかし,大局的に考えると,我が国に来るべき税金が海外流出してしまっているので,損.

もし,クライアントパソコンや周辺機器があっても「恒久的施設」にはあたらないということになれば,これはかなりインパクトのある結果となる.クラウドコンピューティング技術を持つ国は,税金という形で,世界からお金を集められるからだ.米国は,この方面で圧倒的に優位.しかも不況で税収が落ち込み財源不足,しかし,景気浮揚・失業対策のため,大きな公共投資をしようとしている最中.とすると,日米二国間協議で,米国が有利になるように強く交渉してくる可能性は高いかもしれない.

(以下は2009-07-06に追記.)

アマゾン側の立場に立って,どうしたら「アウト」にならならいか考えてみよう.上記1~4の条件をくずせばよい.

1.PCを持ち込まず,PCとはいえない,Thin ClientあるいはWeb Browserだけが動く計算機環境をデータは日本側に置かない.(おそらくデータキャッシュはよいであろう)徹底的にクラウドにする.「機器類」がプリンタを含むとちょっと苦しい.オフィスソフトもクラウド版を使わねばならないとすると,可能性はあろうが,現状では,実際は苦しいところがあるだろう.

2.「配置換え」が何を意味するか分からないが,「配置換え」に関する指示は米国の許可を必要としないようにする.おそらく,委託先(アマゾンジャパン,アマゾンジャパン・ロジスティクス)に権限を持たせればよい.

3.米側からロジスティクスへの直接メールはやめる.

4.物流業務以外をロジスティクスにやらせない.

この方面の素人による考察であるが,出来る可能性はありそう.

産業界は,新技術を開発しながら「隙間」を突き,新市場を開拓あるいは奪取してきた面がある.市場(占有率)というものは,簡単には取れない.新たな市場を創出できると,大きく発展して,勝ち組になれる可能性がある.Googleもそう,思い起こせばマイクロソフトもそう.スターバックスやマクドナルドもそうだ.日本においては,発表酒,ユニクロ.

数々の新しい道を切り開いてきたアマゾンであるから,今回の問題も,米国政府の追い風を受けて,道を見出す可能性はある.そして,Amazon Web Serviceのパターンのように,そこで得られたノウハウをシステム(あるいはコンサルテーション)として,売り出すかもしれない.

クラウドを制するもの,世界を制する,かもしれない.

最後に,気になること.グーグルは問屋商法をやっているのだろうか? モノの物流がないから,同商法を必要としていないのかもしれない...クラウド,恐るべし.

2009年6月30日火曜日

「今後は『商用機の開発がスパコン開発に寄与する』に改めるべきである」

日経コンピュータ2009/6/10 北川賢一(主任編集委員)の眼「理想を夢見た国策スパコンの幻」より

「今後は『商用機の開発がスパコン開発に寄与する』に改めるべきである.IBMが国家機関に収めるスパコンは,自社サーバー向けに開発したPOWERそのものだ.『テクノロジ開発は自社商品で磨け』が鉄則で,それが官民交流によるイノベーションのベースになる」

同感.

2009年6月29日月曜日

教科書もグローバリゼーション

最近,復習を兼ねて数学の解析の教科書(英文)を読んでいる.本文だけで774ページ.厚くて重いが,とても分かりやすい.

この教科書,第9版である.まるで人気ソフトウェアのようである.世界で相当に売れているのだろう.学部生レベルの教科書なので,新しい内容がそう入っている訳ではない.多くのバージョンアップの努力は,読みやすさ・使いやすさの向上の為に費やされていると思われる.実際,親切に,謎がないように書かれていて,おそらく高校生でも理解できる.

このように,一冊の教科書にエネルギーを注ぎ込むことが可能なのは,世界を市場としているからなのであろう.それから,著者はおそらく,教科書書きを天命と思っているかもしれない.やりがいのある仕事である.

Calculus (9th Edition) (Varberg Series)Calculus (9th Edition) (Varberg Series)
Dale Varberg

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日本の教科書は一般に薄い.そして,多くの種類が出版されている.日本の出版社は一般に,リスクの高い,厚い本を嫌がる.赤字になる可能性が高いからだ.

最近,理工系の若い人が,数学が好きでない人が多いと聞く.おそらく,中学までは「ゆとり」で,高校で急速に詰め込みを受けて,数学の楽しみを味わっている余裕がないからではないか.

「このような本に出会い,数学が好きになりました」という高校生や大学生がいてもよい.というか,このあたりに日本の教育の改善点があるのではないか,と思っている.疲弊せずに大学に入り,目に輝きを持って,勉学に励んで欲しいと願っている.

よりよい教育を目指すなら,教科書もできるだけよいものを選ぶべきだと思っている.日本だけを市場とした日本語の教科書では,得られる利益とかけられるエネルギーは,著者も出版社も自ずと限られる.ベストの教科書を選ぶと,洋書となることが多い.そしてそれは,とても読みやすく(英語であろうと),up-do-dateな更新がされている,というのが私の意見である.実際,助手時代以来,20年来,専門分野の教科書は自然と洋書となっている.

ベストな選択を行った結果,それがたまたま日本語であれば,それはそれで結構なことである.

2009年6月28日日曜日

米国ハッカー界の層の厚さを思い知る:RailsConf 2007


RailsConf 2007
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この写真は2年前,私が RailsConf 2007 (Ruby on Railsに関する会議,オライリー社主催)に出席した際のランチタイムの風景である.場所はオレゴン州ポートランド.参加者数約1600人.参加者は皆,個人ベースかベンチャーの開発者風.その層の厚さに圧倒された.IBM, Sun, Amazonの大手に混じって,ベンチャーもブースを出展,37Signals社(Rails開発のきっかけとなったBasecampを開発,Rails作者のDavid Heinemeier Hanssonは社員),Twitterの開発者らも出席.Railsだけでこれだけ集まる層の熱さに圧倒された.

以下,2年前を思い出しながら,感じたことを箇条書きで.

・冒頭,会議を起こしたChad Fowlerが,「グル」の風情を漂わせて登場.なぜか手にはウクレレ.これが会議の雰囲気を象徴していると思う.

・この年は,Twitterがサービスを始めた翌年.まだそれほどユーザは多くない.ちなみにTwitterはRailsで当初書かれた(今はScalaで大部書き直されているらしいが).会議の冒頭,ChadがTwitterでRailsConfについてつぶやこうと言いだし,急きょTwitterアカウントが作られた.下記をフォローすると,逆フォローしてもらえ,皆のつぶやきが見られる.セッションスクリーンの横に,Twitter画面を表示するスクリーンが設けられた.

・会議は3セッション並列.参加者数は1600だから,3並列でも,500人位が聴衆.つまり,書くセッションが大きな国際会議級.参加者はほとんど米国人のようで,日本人参加者は20名位.

・Rails作者のHanssonの話はさすがに良かった.グル・タイプとは違うカリスマあり.クールな2枚目タイプ.上記のrails2007ページで写真が見られるので,ぜひどうぞ.彼のようなタイプが日本にも出現したら,プログラマに対するイメージ,変わるだろうな.

・会議中,日本人へのrespectは明に暗に感じられる.海外の会議でこのような空気を感じ取ったのは,初めてかもしれない.誰かのスライドに「良いものはいつも日本から来る」と書かれていた.外国人にそんなこと言って貰えるなんて,思ってもいないよね.

・会議のホームページの写真はよく撮れている.これはJames Duncan Davidsonというプロの写真家.オライリー主催の会議の写真を良く撮っている.彼はハッカーを撮るのが非常にうまい.そういう写真家が米国にはいるのだ.日本にも欲しい.

・1日目の夜だったが,「ハッカーコメディアン」(named by kato)による公演.2時間に渡り,ハッカーネタで客を笑わせ続けていた.こんなところも層の厚さ.

・2日目のランチタイム,突如,Punk Brass Band (named by kato)が出現.パンクっぽい衣装をまとった男女が,歩きながらブラス演奏と大きな旗振り.リーダーらしき人が,ハンドスピーカに自作と思わしき怪しげな装置を付けて,辺りを走り回りながら,パンクな音の味付け.旗振り男女のダンスも挑発的.おもしろかったのは,これは,会場の許可をとっていなかったらしく,会場の責任者らしき人が出てきて,メンバーと小競り合いを始めた.途中で,オライリー社員らしき人が割って入って,何とか収めて,お開き.あー,良いもの見せてもらった.

・上記の様子からも分かって貰えると思うが,あちらのハッカーの皆さんは,楽しみながら,かつ,とても真面目.そして圧倒的な層の厚さ.ああいう雰囲気に日本にも作りたかった,もとい,作りたい.

以上の話を記録に残しておきたかった.書くとすっきりするね.GTD.

2009年6月27日土曜日

追悼マイケル・ジャクソン:We Are the World

当家の中高生の娘達は,マイケル・ジャクソンを知らない.どうしたら,彼の全盛期を伝えられるかと考えたら,We Are the Worldを思い出した.

同作は私にとって思い出深い.同作は1985年作.その年は,つくば科学万博の年.科学万博でソニーが,ジャンボトロンという超大型画面を出品して話題になった.20m×40m.私は当時,筑波大院生M1.夕方開催されるコンサート,演劇をよく観に行った.夕方券があり,安く入れた.チック・コリア,夢の遊民社等を観た.計14回入場.

ジャンボトロンでよく映されていたのが,We Are the World. 皆,立ち止まって,見入っていた.素晴らしいハード技術+コンテンツ融合の幸せ.

同作をDVDで購入して持っている.本箱から発掘成功.家族と一緒に,久しぶりの拝聴.予感はしたが,やはり涙がこみ上げてきた.家内も.

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生まれる以前の80年代ミュージックを娘達は知らず,古い古いといつも言っているが,この曲&ビデオには感銘を受けている様子.登場ミュージシャンを一人も知らないが,それでもそのパワーは感じ取れるみたい.

DVDには,メーキングが入っている.久しぶりに観たが,当日は40人以上の超一流ミュージシャンが夜9時頃から朝までかかって,一日録り.綿密は準備はされていたようだけれど.あれをプロジェクトと見なすと,おそらくプロマネ役だったクインシー・ジョーンズのリーダーシップ,音楽性は卓越している.あれだけのミュージシャンの個性を活かしながら,一つの作品としてうまくまとめている.

機材はすべてアナログ.ナレーションで,まるでジグソーパズルのようと表現しているが,アナログテープ・ベースであれだけのものを作るのは大変だったろう.今なら,おそらく,パソコン一台でできてしまうが.偉業といってよい.技術は進んで楽に作れるようになったが,匹敵するコンテンツを作れるかといったら,難しいかもしれない.匹敵する現代版ミュージシャン40数名がいるかどうかも疑わしい気がする.リアルタイムで感動を共有できたことに感謝.

グーグル社エンジニアによる講演

昨日,グーグル社の方に来て頂き,下記のような講演会を開催しました.講演をして下さった,中野さん,安田さん,そしてアレンジをして下さった鈴木さん,ありがとうございました.多くの学生,教員の方々が来て下さり,盛況でした.

日時:6月26日(金)10:00-12:00
場所:筑波大学 総合研究棟B 1階 0110公開講義室(SB0110)

講演会タイトル:分散システム工学講演会
講演者: Jun Nakano, Kinuko Yasuda (Goolge)
講演題目:
* Meta techniques used in Computer Science and within Google
* How MapReduce is used in real life situation.

講演の中で聞いた,面白い話を2件.

1.twitterという綴りを,かな漢字変換のひらがなモードで入力すると,例えばATOK2008 for Macだと「tうぃってr」,Macのオリジナルのことえりだと「とぃってr」.Google側が辞書をもっていて「twitterじゃありません?」と聞いてくれる.

2.Google Mapsで,下図のように迷路のように入り組んだ地図がありますが(スライドを見た記憶から,似たようなものを私が今探してみたもの),地図をスキャンしているのではなく,データを元に,システム側でレンダリングしているんだって.そのときにMapReduceが活用されているとのこと.


大きな地図で見る

2009年6月25日木曜日

万年筆で涙:ペンドクター川口さん

2009/6/22朝日夕刊 be evening セーラー万年筆ペンドクター 川口明弘さん(61才)のインタビュー記事.いくつか印象的な話.

川口さんは有名なペンドクター.年60回,日本中の文具店,文具売り場で,ペンを直している,その道では有名な人.

50代のときにセーラー社から早期退職を求められたんだって.あれだけの有名人を.でも,半年後,全国からクリニック再開の声が会社に相次いで,契約社員になり,再開.

メーカーを問わず,3分で,その人にとって完璧な書き味に直すという.

売上高グラフが載っていて,セーラーの年間売上高は2006年から上り坂.パイロット社に追いつきそうな勢い.川口さんの貢献があるかも.

以下は感銘を受けた話.

● 若い女性が修理に訪れ,何に使うの?と聞くと,「遺書を書きたい」...何十年と使えるようにするのが仕事.遺書のための修理など...「直してあげるから少し考え直してみなさい」...インクが出るようになったペンに,女性が涙した.後日届いた手紙「遺書じゃなくて,もっと違う手紙を書きます.ありがとう」

● 大切な贈り物,親の形見のことも多い.生き返った万円筆に泣き出す人もいる.「一本の修理で,これあけの気持ちを受け止める.そんな職業って他にある?」

● 床屋で散髪を月に3回するとのこと.短く買った髪は「頭を洗うときに,指にしみこんだインクを落とすタワシ代わり」

ジャズを聞き始めたいと思っている人へ

ジャズを聞き始めたいと思っている人へお薦めする3枚.1曲目だけでもOK.

サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム+2サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム+2
マイルス・デイビス

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バラードバラード
ジョン・コルトレーン マッコイ・タイナー ジミー・ギャリソン

ユニバーサル ミュージック クラシック 2003-04-23
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マイ・ファニー・バレンタインマイ・ファニー・バレンタイン
マンハッタン・ジャズ・クインテット

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米国ジャズ/フュージョン ギタリストで3枚

米国ジャズ/フュージョン ギタリストで3枚上げればこれ.3枚ともそうなのだが,1曲目を聞くためだけでも買う勝ちあり.これらも無数回,聞いています.

夜の彷徨(さまよい)夜の彷徨(さまよい)
ラリー・カールトン グレッグ・マティソン ポーリニョ・ダ・コスタ

Warner Music Japan =music= 2008-03-19
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イン・リオイン・リオ
リー・リトナー

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フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ~スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!フライデイ・ナイト・イン・サンフランシスコ~スーパー・ギター・トリオ・ライヴ!
ジョン・マクラフリン,パコ・デ・ルシア アル・ディ・メオラ

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2009年6月24日水曜日

初公開.これが我が家のウサギ君.


P5250053
Originally uploaded by kzhk
2009年5月撮影.

日本人ジャズ/フュージョン ギタリストによる3枚

続けてもう一言書いておこう.私が薦める,日本人ジャズ/フュージョン ギタリストによる3枚.いずれも,数え切れないほど聞き込んでいるが,未だに飽きない.それぞれに想い出がある.グッドモーニングとトチカについては,また改めて書きたい.

グッド・モーニング(紙ジャケット仕様)グッド・モーニング(紙ジャケット仕様)
増尾好秋

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TO CHI KA
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渡辺香津美

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マンハッタン・スカイラインマンハッタン・スカイライン
宮野弘紀

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27年間待ち続けたCD

どれほど,このCD発売を待ち続けたことか.

このアルバムが発売されたのは,1980年.デビュー作でありながら,ニューヨークの超一流プロデューサ&スタジオ・ミュージシャンとコラボして作られた.プロデューサが,マイルス・デイビスのプロデューサとして有名なテオ・マセロ.ベースはマーカス・ミラー,ギターにジェフ・ミロノフと川崎燎.サックスにジョージ・ヤング(MJQの.これはジャケットをチェックして今認識),フルートにデイブ・バレンタイン.これほどのバックを従えてデビューアルバムを発表したのは,日本人では彼くらいではないか.

高校生のときに,LP発売時即購入.LPで聞き,カセットテープで聞いた.その後自分で,デジタル化して,iPodに入れたが,既にLPが痛んでいて,きれいには録れない.また,安いターンテーブル&ピックアップしかないので,ワウは入るし,ノイズも入る.デジタル処理で,ノイズ軽減処理は施したが.デモ聞き続けた.いつしか,CD化されることを祈って.

何度,秋葉原石丸電気のジャズ専門店の日本人ギタリストコーナーを見にいったことだろう.Amazonができてからは,気がついたときに検索した.そして,ある日偶然,見つけた.CD化は2007年11月17日で,紙ジャケット仕様.発売後間もない時期に,見つけられた.感動であった.

どうしてこのアルバムがCD化されないのか,不思議であった.アコースティックギターがお好きなら,絶対に聞いて欲しい一枚である.お薦めは,A面1曲目だったLet's Make Merry, B面1曲目だったSlow Down for Love.

当時,和製アール・クルーとか言った評論家がいたらしいが,アコースティックでジャズ/フュージョンという意味では似ているが,アール・クルーとは全く違う音楽性である.デビュー時に既に独自のメロディライン,スケールを持っている.

大学生時代,一度だけ,東京のライブハウス(確か中野)に聞きに行ったことがある.

マンハッタン・スカイラインマンハッタン・スカイライン
宮野弘紀

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メール地獄

メール地獄界に入ってから久しい.

どうしたら抜け出せたものか,よく考える.

そもそも,メールアドレスが分かれば誰でも送れるという,インターネット以前に作られた無防備・原始的なシステムを未だに使い続けるのがおかしいのだ.

そもそも,TCP/IPがそうだ.無防備にaccept/connectする.accept/connectしないと相手が誰か分からない.

私は,Junet時代以来,メール人生25年目だ.つくば地区のJunetメール&ニュースは,私がM1のとき,管理人となり,筑波大をハブサイトとして運営していた.電話モデム経由で.電総研(現産総研),図情大(現筑波大),高エネ研等にメール,ニュースを配信していた.UUCPがTCP/IPになった事を除けば,メールシステムはほとんど変わっていない.

当時,メールシステムの便利さに目を輝かせたが,まさかその後,メール地獄界入りするとは思ってもいなかった.

最近,Twitterを始めたが,時間がないときは,読まない・書かないで問題なし,というところがよい.ブログもそう.

2009年6月23日火曜日

Dropbox: クラウド時代のNFS出現か? その洗練性と破壊性

Dropboxというのはその名前からは容易には想像がつかないと思うが,高度に洗練された,そして,「破壊的」なシステムソフトウェアである.提供する機能は比較的,シンプルである.

  1. クライアントマシン上の指定したディレクトリをクラウド側サーバに自動的にアップロードしてくれる.
  2. 共有指定したマシンがあれば,そのマシンの指定ディレクトリとも同期をとってくれる.すなわち,必要に応じて,自動ダウンロードを行ってくれる.
  3. オフラインのマシンがあっても構わない.オンラインになった時に一貫性維持処理が始まる.
一言で言えば,サーバ(クラウド)と複数クライアント間の同期システムである.「高度に洗練されている」のはその透明度だ.初期設定をしてしまえば,ユーザは,Dropboxの介在をほとんど意識する必要がない.自動的にアップロード,ダウンロード,同期を行ってくれる.同期機能はおそらく,透明性を重視しているために,特別には凝っていない.同時に更新したら,おそらく,一貫性は保証されない,すなわち,崩れる.

一貫性の問題は,個人利用の場合は,多くの場合,問題になりにくい.ユーザ自身が「トークン」の役割を果たすからだ.例えば,職場のマシンでDropbox上のファイルに対して仕事をしたとする.帰宅時には,家のマシンから透明にアクセスができる.家のマシンが,オンのままであれば,大きなファイルであろうと,おそらく,移動時間中にダウンロードは済んでいる.オフの場合は,しばらく待てば,ダウンロードされる.ユーザは特別なアクションは必要なく,単にシステムを立ち上げるだけでよい.個人利用の場合は,同時に複数のマシンを使うということがなければ,同期の問題は発生しない.(ただし安全のため,アプリケーションは終了しておいた方が良いだろう)

なぜ破壊的かというと,これがあれば,既存のスタンドアロン・アプリケーションをネットワークサービス化してしまう可能性があるからだ.既存のアプリケーションで,これがネットワークサービスで提供されていたらな,と思うことは最近多い.これまでは,サービスとして新規開発するしかなかった.Dropboxがあれば,スタンドアロン・ソフトウェアが,自然にネットワーク・サービスのようになり得る.実際私はそのようにして,いくつものアプリケーションを使っている.このブログ原稿自体もそのような環境を使って書いている.Dropbox使用により,新たにネットワークサービスを作る必要はなく,また,すでに費やされたネットワークサービス構築のコストがペイしなくなるかもしれないのだ.

洗練性と破壊性を両備したシステムソフトウェアが,昔にもあった.サンマイクロシステムズ社のNFSである.ネットワーク(当時はLAN)の存在がユーザおよびアプリケーションにわからないよう,ファイルシステムをネットワーク化するのに成功した.多くの企業が,最初は,NFSの持つ「破壊性」には気付かなかった.そのために,進むべき道を誤り,買収によって消滅してしまった企業はおそらく少なくない.NFSの「破壊性」に気付き,同社の実力に恐れおののき,当時,業界は動いた.

NFSは安かった.また,移植性が高く,実際に移植製品が多数現れたという意味で,オープンであった.Dropboxは2GBまでは無料という安値,そして,複数プラットフォーム対応を既に為している.NFSは同期問題(並行性制御問題)に弱かったという点でも,Dropboxに似ている.おそらく,実用性,透明性,そして(提供側の)開発速度が重視されているのだろう.

Dropboxにより,(無料に近く)安価なP2P基盤が実現されてしまったとみることも出来よう.Dropboxは,P2P型ソフトウェアではないが,クラウド型サーバとして実現されているその動きは,巨視的に見ればP2Pシステムに似ている.P2P基盤を作りたいという若者の提案をこれまでに多く聞いているが,彼らが作りたいと言っていた「民主的な」P2Pとは違う形ではあるが,ほとんど無料といってもよいP2P基盤(のようなもの)が出来てしまった.そうなると,ユーザに見えるサービス機能で勝負せねばならない.それはそれで,ユーザにとっては望まし事なのだが,基盤ソフト作りに興味をもつ者にとってはきつい面がある.競争相手が飛躍的に増大した中で競わねばならないからだ.

NFSの普及に伴い,分散ファイルシステムの研究開発は,ある部分,鎮火させられた.それでもなおかつ,チャレンジはあり,AFS, Codaのようなシステムも生まれた.しかし,NFS以前と以後とで,世間の見る目,研究開発に求められるレベルが変わってしまったことは否めない.今後,Dropboxもそのようなポジションを獲得するかもしれない.

2009年6月18日木曜日

インフル感染から逃れられない(かもしれない)

少し前,新型インフルが大きな話題になった頃,あるファーストフードレストランの2階席への狭い階段を上がっていた.

両手にはトレー,肩には鞄.

そのとき上から女性が降りてきて,くしゃみ.

瞬間的に身の危険を感じたが.逃れる術がない.(振り向いてダッシュか?)

インフル感染は防ぎようがない事があることを瞬間的に理解.

つくばセンタービル,26年を経てのインプレッション

つくば住人にとってありふれた風景なのだが,平日に,つくばセンタービル付近を歩きながら感じたインプレッション.同ビルは,建築家 磯崎新の作品で,1983年作.つくば科学万博の2年前.当時,「ポストモダン」建築の代表作の一つといわれた.一目で分かる斬新さ,つくば住民の自慢であった.26年の歳月が経過しているが,メインテナンスがよいのか,その風景はほとんど変わらないように見受けられる.「ギリシャの木」に巻き付いた金の布のように見えるものは今も健在.

すぐ隣のバスターミナルは,1年を掛けて,現在工事中.そのコントラストから,インプレッションを感じたのか.

普遍性とオリジナリティを両立し,万人に見てもらえ,説明無しで楽しめるが,うんちくを聞けば深い.建築家とは何と羨ましい仕事か.と初めて見た時に思ったが,今もその思いは変わらない.

つくばセンタービル
http://ja.wikipedia.org/wiki/つくばセンタービル

磯崎新
http://ja.wikipedia.org/wiki/磯崎新

(Wikipediaには何でもあるんだね)

2009年6月17日水曜日

新入生歓迎コンパ -> 顔合わせ会,そして「つながり」に関する考察

最近,私が担当する学類(普通の大学の学科に相当)では,昔はごく当然だった「新入生歓迎コンパ」というものはなくなり,「新入生顔合わせ会」になっているらしい.新入生同士が顔を合わせるのが主目的で,それに10数名の新入生歓迎委員(先輩)が加わる.先輩が新入生を「お出迎え」という風習はなくなってしまったようだ.

昔(歳のせいか,このセリフが最近は多い)の新入生歓迎コンパは,学類生+院生のほぼ全員が参加する新歓コンパ,同じクラス番号(といっても2クラスしかない)の学生が参加する「縦割り」新歓コンパ,そして新入生だけの「横割り」新歓コンパ.これ以外に,サークル,県人会,高校OBによる新歓コンパと,目白押しであった.

そして,考察.

現代は,IT (あるいはICT)によって,人々は極めて「つながり易く」なった.実社会では知らない人とも簡単につながってしまう.むしろ,つながり易過ぎるので,気をつけねばならない.子供の頃からだ.

昔,人々は「つながり」に飢えていた.「飢えていた」とは現代からの相対的な表現であり,当時はそんな意識はなかった.開学間もない約30年前の筑波大の環境は大変であった.当時の筑波は「陸の孤島」などと揶揄されており,また,筑波大には全国から学生が集まる.地元出身者は少数であった.新入生の学生宿舎入居率は90%以上.新入生の宿舎の部屋に電話はなく,携帯電話やインターネットもない.筑波大の当時の環境では,必死に,リアルにつながらなければならなかった.親元を離れた,個室なので,つながりを維持できないと,生命の危険すらあった(これは事実).

今は,宿舎の部屋に電話も,インターネットもある.おそらくほぼ全員が携帯電話を持っており,日々バンバン通信している.そういう意味ではつながっている.「つながり」に飢えているとは言えない.しかし,現代の若者も,昔とは変化した意味で,つながりに飢えているように感じる.「リアルなつながり」を渇望しているのではないか.

最後に.あまり知られていないと思われるが,当時の筑波大の学生や宿舎の環境をモチーフとした小説が,芥川賞受賞小説となっている.松村栄子氏の「至高聖所(アバトーン)」である.

Amazonの「商品の説明」からの引用:
彼女の悲しみを、分かちあうことはできない。私の悲しみも理解されないだろう。でも、寄り添わずにはいられない―。無機質な新構想大学のキャンパスで出会ったエキセントリックなルームメイト。互いの孤独に気付くとき、何かが変わる予感がした。

http://www.amazon.co.jp/%E8%87%B3%E9%AB%98%E8%81%96%E6%89%80-%E3%82%A2%E3%83%90%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%B3-%E7%A6%8F%E6%AD%A6%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%9D%BE%E6%9D%91-%E6%A0%84%E5%AD%90/dp/4828857052/

2009年6月16日火曜日

環境対策(温暖化対策)で原発を?

日本で原発をを見る目は厳しく,新規に作ることは容易ではない.しかし,技術・ノウハウはあり,巨額ビジネスである.ならば世界に活路を見出そうと言うことか.原爆を持たない国の中で,技術力は突出しており,「非核」を貫きながらも「平和利用」と世界に認めもらう実績・ノウハウもある.いろいろと苦労も経験している.環境対策(温暖化対策)として世界に原発を売り込むことも「戦略的」なのかもしれない.

http://www.asahi.com/science/update/0616/TKY200906160143.html

環境問題と自家発電

今朝のNHK番組で見たところによると,一軒家の屋根に付けたソーラーパネルは,10年で取り付け費用が回収できるとのこと.これは,発電した電気の利用,売電,市・県・国の資金援助の総計による.公的資金援助は,しばらく止まっていたが,最近再開したらしい.

また,副次効果として,家庭内で節電を心がけるようになるそうだ.なぜなら,家庭内に接地された制御パネルにより,現在の発電量と消費量が一目でわかり,電気黒字(つまり売電状態)になるようにしようとうする心理が働くから.

以下,考察.

ソーラーパネル等による自家発電は,設備コストを考えると,経済的とは簡単には言えない.10~20年での償却を考えねばならない.しかし,「戦略的」観点で考えると,以下のような効果がある.(先日の環境シンポジウムで,「戦略」を意識せよ,と学んだことにインスパイアされている)

1.国が不況対策として,赤字国債を発行してでも国費を民間に投入しようとするとき,何らかの合理性,正当性,説得性をもった,多くの人々が素直に受け入れられる概念,キーワードが必要だ.現在は「環境問題」,「地球温暖化問題」が,世界レベルの協調により,そのようなキーワードとなった.(今や「環境」は,世界的レベルの,戦略的キーワードである)そのような状況においては,キーワードの概念が,本当に科学的に有効なのか,あるいは,50年,100年後に振り返って本当に有効かどうかよりも,現時点で民衆の支持が得られるかどうかが重要なのだ(まさに政治と行政である).ということで,公的資金をソーラーパネル事業振興等に注入し,それを「パイプ」として,資金を民間に送り込める.

ちなみに,もし合理性,正当性,説得性を欠いたもの公的資金を注ぎ込むと,それは問題誌され,小から大まで,さまざまな波紋を呼んでしまう.(最悪,「事件」となる)

2.ソーラーパネルというクリーンな発電装置(ソーラーパネル自体の製造過程や,廃棄問題を別にして)を,あちこちに取り付けていくには莫大な資金を要する.一部を「呼び水」として公費負担,残りは国民に負担してもらうというのは,一つの有効戦略として考えられる.

3.クリーンな発電装置を増やしていけば,発電所を増やさなくて済む.あるいは,発電所における発電量を減らせる.これぞ本当の「省エネルギー」である.「発電所作り」という公共事業はできなくなるが,化石燃料や水力発電による「発電所作り」は,今日においては,支持が得られず,時代に逆行する「キーワード」である.

4.家庭発電は,情報システムにおけるクラウド化(=インフラ共有/集中)と反対の現象になっていることは興味深い.サーバあるいはクラウドを分散化したものがP2Pであり,電力分野における自家発電・売電に対応する.

ピアニスト辻井さん,NHKニュースでスタジオに登場.

コンテストでは連日,計十数曲も弾いたそうだが,1曲目はショパンの最も難易度の高いと言われている曲を持ってきたという.
辻井さん:「...聴衆を驚かせてやろうと思いました」
アナウンサー:「茶目っ気たっぷりですね」

ネット検索で,お母さん(辻井いつ子さん)のブログがあること,著書3冊もあることも発見.ご本人もCD, DVDも発表されていたんですね.

辻井伸行さんWikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BE%BB%E4%BA%95%E4%BC%B8%E8%A1%8C

辻井いつ子さんのブログ
http://kosodate-hiroba.net/

2009年6月12日金曜日

珈琲教室,ジェフベック,そして故 忌野清志郎さんの自転車(サプライズ)

市内の珈琲自家焙煎店(コーヒーファクトリー)で珈琲の入れ方を習う.初めて泡が立った.

その珈琲店の店主がジェフベックのTシャツを着ている.お好きなんですか?と聞いたら,はい,好きで何枚も持っているんです,とのこと.今の若い女性ベーシストうまいよね,同感,と盛り上がる.故 忌野清志郎の復活ライブにも行きました,とのこと.

そして聞いたサプライズ,忌野清志郎さんは,近年,自転車好きで知られていたが,その自転車は市内の,我が家からもすぐの自転車専門店で作られたとのこと.何度も来ていたらしい.

忌野さんの紹介で,女優のS.O.さんもいらっしゃるとか.

2009年6月11日木曜日

環境関係の日独米会議(6月10日).小池百合子 元環境大臣,ドイツ環境・自然保護・原子炉安全省事務次官ご登場.

昨日の環境関係の日独米会議で,どうして小池百合子氏がパネルご登場かと思ったら,ドイツの環境・自然保護・原子炉安全省事務次官もご登場で,元環境大臣ということで裏方で外務省あたりがバランス考慮で,調整したのであろう.約4メートルの至近距離で拝見できたので,お二人の表情までよく観察できた.

公式発表数時間前ではあるが,「05年比15%削減」,「真水で」の話も議論された.「「真水比較」で国際比較すると,日本はこんなによい」との日本の官僚の説明には,ドイツ事務次官は,身振り付きで不満を大きくアピールしていた.日本の高級官僚の皆さんも,国際会議で不満があったら,ぜひあれぐらいのアピールをして欲しい.(きっと日本の官僚は,お行儀よいのだろうなという予想)

「戦略性」ということがたびたび議論され,日本の戦略性不足が,日本人側出席者(民間系)によって度々指摘されていた.「グリーン・ニューディール」という言葉が暗示するように,「環境」は今や戦略性を持った国際的術語だ.ドイツ(EU)でも,米国でも,雇用創出あるいは公共事業としての「環境対策」なのだ.京都議定書の頃以降,「環境」がこのような戦略性をもってしまった以上,国際的関係/立場をキープしたいのならば,国際的に通用する議論,論理を展開するしかない.あるいは,「ガラパゴス」で行くかだ.ガラパゴスも悪くない可能性はあるが,環境問題はグローバル問題であり,我が国は先進国の一員だので,ガラパゴス決め込みは,国際的立場上,あるいは,国際経済上,我が国が不利益を被る可能性がある.

...ということを今回の会議出席で学ぶことができた.

ポスト京都議定書とグリーン・ニューディール構想—日独米の「緑のチャンス」
共催: ベルリン日独センター、株式会社富士通総研
協力: 立教大学経済研究所
6月10日(水) 於: 東京国際フォーラム ホールD5

http://www.festokyo.com/event.html
http://www.festokyo.com/climate2_jap.pdf

ピアノコンクール優勝の辻井さんの帰国後最初の記者会見で,「もし1日だけ目が見えるとしたら何を見たいか」という質問をした記者がいるらしい.

ピアノコンクールで優勝の辻井さんの帰国後最初の記者会見で,「もし1日だけ目が見えるとしたら何を見たいか」という質問をした記者がいるらしい.一体どういう神経をしているのか.どうして全盲の人に向かってそのような質問ができるのか.本人,家族,そしてサポートする人達が,これまでにどれほどの苦労を重ねて今日に至っていると思うのだ.

http://www.jiji.com/jc/c?g=ent2_ent2&k=g090695

きっと悪気はなかったのであろう.素朴に聞いてみたかっただけなのだろう.しかし,あなたはプロの記者だ.子供ではなく,大人のはずだ.人の心の痛みの分かる歳のはずだ.そして,あの場は帰国後初の,特別な公式記者会見だ.

願わくは,上司から厳しく注意され,障害忘れられぬ出来事として猛省していることを祈りたい.

記者会見の模様を映像でも見たが,辻井さん,なんと澄んだ,そして輝きのある,表情と目をしているのだろう.最近の日本が忘れてかけているものを持っている気がする.懐かしさのようなものを感じた.このような人と同時代に,同じ国で生きられる喜びを感じる.

2009年6月8日月曜日

ウサギの脱走法

人は,親からものを教わり,本を読み,学んでいく.我が家のウサギは,当家族を別にすれば,幼い頃から一人住まいで,他にウサギはいない.なのに,いろいろと出来ないことができるようになっていくから不思議だ.例えば,以前は上れなかった階段を,上り,そして,下りることができるようになった.そして,何かができるようになるたびに,当家族は恐れおののく.

現在,我が家のウサギ君は玄関(屋内)で飼われている.約60cm四方のケージが「家」であり,その回りを高さ60cmの塀(アルミの柵)で囲って,「敷地」にしてある.一回のジャンプで塀を越えることはできない.しかし,ケージの上にジャンプで上がることは出来るらしい.ケージから塀まで距離があると,強くジャンプするエネルギーのため,着地が危険だ.だから,ケージに上がって,高見の見物を洒落込む事が多かった.

ところが最近,「脱走」に成功するようになった.その方法に驚いた.アルミの柵を手前に動かし,ケージと柵の距離の短くするのだ.そうすると,ケージの上から少ないエネルギーでジャンプできるので,安全に着地できる.

教わったのではないので,学習ではない.自力発見,自力突破だ.恐るべし.

2009年6月6日土曜日

Evernote (for Mac)の同期が失敗し続ける問題を解決.

Evernote (for Mac)の同期が何度やっても失敗するという問題が発生した.

Evernoteのサポートページを見たが,対処法は見つからない.同サポートにメール連絡.

すぐに返信がきたが,「システムログを送れ」.送ると,「指定動作の時のログを送れ」で,すぐには解決できなさそうな予感.

ふとstraightforwardな方法を思い付き,次のように解決.

1. アプリケーションフォルダからEvernoteを削除.
2. "ライブラリ/Application Support"からEvernoteを削除.(実際には,名前を変更.フォルダ末尾に"-"を付けただけ.)
3. Evernoteを再インストール.
4. Evernoteの, Evernote-Web(クラウド版)と同期機能により復元.

Service+Softwareモデルの有効性の一例か.

以上をEvernote開発元にも連絡した.

Software だけの場合,データはバックアップから復元するしかないし,バックアップを探すのが大変だし,しばしば,バックアップはなかったりする.S+Sの有効性を再認識.ちなみに,service側にバグられると痛いが,向こうは商売なので,一生懸命やってくれるだろう.こちらは,ソフトとデータのメインテナンスをできるだけ省力化したい.

2009年6月5日金曜日

Mさんの披露宴:サプライズの連続

以下は,当研究室OB Mさんの結婚披露宴の様子.いくつものサプライズがあった.

1.場所は南青山,お店の外装からしてただならぬ雰囲気.外から見ると画廊とも思われる風情で,パーティ会場とは思えない.店の名前が小さく書いてあって確認.

2.会場は地上と思っていたら,まさかの地下.天井高く,自然光採光の工夫有り.定刻になったら,全員,部屋の外に出て下さいという意外なアナウンス,階段で降りてくる新郎新婦を皆で迎えるという趣向.さらにもう一つ.上階からのカメラで,新郎新婦を取り囲むように集合写真を撮影.感心.

3.司会者から最初のサプライズとのアナウンス.置いてあった大皿の下に,カードが置いてあり,手書きで,少なからぬ分量の,全員への個別メッセージ.新郎は当日深夜3時までかけて書いたとか.ありがとう,ご苦労様.その後すぐに,新婦側主賓の挨拶から言われて,個人的にサプライズ.

4.今日こそはコンパクトにと思いながらも,やっぱり長かった(きっと).思いの丈は述べられたが,聞いている方は迷惑だったでしょう.すみません.司会者は,プロの気配だが,結婚式を専門とするプロとはひと味違うなと思っていたが,後でチェックしたら、現役テレビ局女子アナ.

5.列席者挨拶で最も胸を打たれたのは,新婦友人の言葉.手紙形式で書いたものを読み上げているのだが,胸を打つ.新婦は涙ぐむ.列席者一同,しーんとして耳を傾ける.私のこれまでの経験でも,新婦友人の言葉は,胸を打つことが多い.素朴な心情の吐露が,自然と人々の心を揺さぶる.

6. 新婦によるヴァイオリン演奏.新婦はプロのヴァイオリニストでもうすぐ,キングレコードからCDデビュー予定.一番前で見られたので,演奏と表情の変化が手に取るように見て取れる.子供の頃から今日まで世話になった,親族はもちろんのこと,ヴァイオリンの先生方,同僚,友人達,そして新郎とその関係者の前で,生涯一度となるであろう一期一会の演奏.万感の思いが顔の表情,指・弓・体の動きに現れるよう.その場に居合わさせて頂いたことに,背筋がぞくぞくする程の感動.

7. 最後に新郎から「私達から皆さんへのプレゼントをビデオでお送りします」.結婚式の動画映像が始まる.プロクォリティのカメラワークと編集.天気の違いから,何日か前に撮ったと思われる.そのまま時間はずっと進んで,披露宴会場の映像,披露宴が始まる,最初の主賓挨拶(私),どんどん今に近づいてくる.つまり,ビデオを撮りながら,同時進行で,プロクォリティ編集をしていたのだ.サプライズ.退室のときに,あのビデオは凄いねとMさんに言ったら,「はい,すごく高かったですが」とのこと.

...上記のように書いたところ,後日,Mさんから連絡があり,「何日か前に撮った」のではなく,当日撮りとのこと.どうやら,動画像処理で,天気も晴天のように見えるにようになってしまった模様.いやはや,すごい時代.

8. Mさんの奥さんのブログ(美人バイオリニスト,と書くと見に行く人,多いだろうな):

http://ameblo.jp/chika-edanami/

最近の学生の趣味

最近の学生の趣味はなかなかおもしろい.家でVMを12個位動かしているという.何に使うのかと聞いたら「ハニーポット」.「ハッカー達が入ってきて,いじったあげくに何も出来ないと分かって帰って行く.それを観るのが面白いんです」ハッカーは小動物か.

新歓コンパにて.

先日,研究室の新歓コンパ.会場は大学近くのwoodyなきれいな建物.内装もきれい.驚いたのは飲み物の運び方.テーブル8個分の飲み物を,部屋の入り口に一番近いテーブルにドンと置いて,無言で帰って行く.おいおい,「お回し下さい」とか普通言うでしょう.

2009年5月10日日曜日

日本で初めて見つかった豚インフルエンザ感染者

  • 09/5/9に豚インフルエンザ感染者が成田で発見される.高校生2名と高校教員1名.
  • 大阪府寝屋川市—カナダ国オンタリオ州オークビル市との交流事業で,寝屋川市内3高校から36名が参加.
  • オンタリオ州にはカナダ最大の都市トロント,そしてオンタリオ湖があり,同湖にはナイアガラの滝がある.
  • 日程:4/24-5/8.どうしてこの時期に,と思ったが,交流事業で,相当前から相互で計画されていて,やめられなかったのだろう.
  • 現在の感染者は,メキシコ(感染1364名,死者45名),米国(1639名,2名),カナダ(242名,1名)で,世界第3位の感染国.
  • 2名(高校生1名,教員1名)は,現地で発熱.どうして,一般客と一緒に飛行機に乗ったのかと思うが,現地病院で診てもらったところ,豚インフルではないと診断されたとのこと.2名は,成田空港着陸直後に飛行機内で検査に引っ掛かる.1名は引っ掛からなかった.その理由は,咳しか症状を申告しなかったからとのこと.(後の2名はおそらく発熱を申告).
  • 感染の可能性のある者,2-3メートル(全方向2-3席の範囲)の範囲に座っていた乗客と接客乗員が濃厚接触者.同便同乗者のうち,濃厚接触者62名,そのうち49名は停留10日間,13人乗り継ぎで国外へ,帰宅者163名(客144名,乗員19名),国外へ乗り継ぎ客177名,調査中4名.